1)種子の生産・散布の量と空間分布 1995-1997の3年間における低木4種の結実量とその空間分布、年変動について調べた。ノリウツギを除く3種では、豊作年における1個体あたりの平均結実数は類似し、かつ高木種に比べてごく少ないことが明らかとなった。種子のサイズや形態も類似していた。また4種とも種子生産には1年ごとの豊凶が認められた。 2)ラミート(幹)単位での固体群動態 4種とも、幹サイズの増加とともに死亡率は急速に低下し、種子生産開始サイズクラス以降、再びやや増加するという変化を示した。これは萌芽をあまり行わない種(高木種)で最も普通に見られるパターンと同じであった。 萌芽は毎年、総幹数の1〜2割の数が新たに発生した。1年目の死亡率も1割程度と低く、個体群の幹数の維持は主に萌芽によることが確認された。 一方、実生は、ノリウツギを除く3種では、密度はヘクタールあたり数百以下と低いものの、毎年、林内に散在して発生していた。1年目の生存率も6〜8割程度と比較的、高かった。非常にゆっくりとではあっても種子繁殖によるジェネートの更新が行われている可能性が示唆された。 3)クローンの形態と広がり 林内に生育する各種の株(クローン)を掘り起こし、その形態やその広がりについて調べた。ノリウツギでは、枝の伏条と断片化による栄養繁殖が行われていることが確認された。他の3種では萌芽の繰り返しによるクローンの拡大が主で栄養繁殖は確認されなかった。
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