1.クラミドモナスCA遺伝子CAH1のCO_2濃度変化に応答する発現調節領域 PCRにより得た様々な長さのCAH1遺伝子上流域とレポーター遺伝子(ars)を融合させたキメラ遺伝子をもつプラスミドを作製し、硝酸還元酵素(nit)遺伝子を持つ選抜用プラスミドpMN24とともにクラミドモナス宿主株(nit欠損株)に導入した。アンモニア非要求性となった形質転換株について、発色基質X-SO_4を用い低CO_2ならびに高CO_2条件下におけるars活性を調べた。また、導入したキメラ遺伝子全体が核ゲノムに挿入された株を選抜するためにPCR反応用プライマーをデザインし、形質転換株(アンモニア非要求性株)のゲノムDNAに対してPCR反応をおこなったところ、形質転換株の約20%がキメラ遺伝子を完全な形で保持していた。 この結果、転写開始点から-293塩基までの上流域があればCO_2濃度の変動に応答できることが判明した。 2.クラミドモナス高CO_2要求性変異株の単離と解析 二酸化炭素濃度の低下を細胞が感知してからCA遺伝子の発現誘導が引き起こされるまでの過程を明らかにする目的で、nit1遺伝子を遺伝子タギングの指標として用いて、高CO_2要求性変異株のスクリーニングを行った。nit1遺伝子の挿入変異によってCA活性の誘導がかからなくなった株を6株単離した。また、CA活性は野生型と同じように誘導されるにも関わらず、低CO_2条件下で生育速度が低下した株も単離できた。現在これらの株について、光合成特性の評価・挿入DNA断片のクローン化をおこなっている
|