研究概要 |
全塩基配列を確定したクロマツ葉緑体DNAの遺伝子について、RNAエディティングが予測された297箇所の内、平成7年度内には、atpA,atpF,petB(exon2),petD(exon2),petG,psaB,psbA,psbB,psbE,psbL,rpl2,rps14,ycf7(ORF62b),ORF320の14の遺伝子領域の49箇所についてエディティングの有無を検索した。これらの検索には、発芽後2週間のクロマツ幼葉から抽出した葉緑体DNAと、DNaseで処理した全RNAテンプレートとしたcDNAとを調製し、検索部位に対応する断片をPCR法によって増幅、精製した後、直接あるいはクローン化後シーケンスして塩基配列の比較を行った。検索した部位の内26箇所についてRNAエディティングの存在を確認した。これらのエディティングは、全てCからUへの転換であった。これは、従来被子植物葉緑体でのみ報告されてきたRNAエディティングの存在を、裸子植物のものでも証明したものであるが、とりわけORF62bの例では、開始コドンと終止コドンを形成するエディティングが共に存在しており、これらのエディティングの結果、他の葉緑体ゲノムで保存性の高いycf7(ORF31)と極めて相同性の高い産物の形成が予測される。
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