1。下垂体腺葉におけるエンドセリン(ET)産生細胞の同定。 前年度、雌ウシガエルの下垂体腺葉ではgonadotrophのみがET-3免疫反応を示すことを見出した。本年度は、(1)二重ラベル免疫電顕法を用い、ET-3はgonadotrophのLHおよびFSHを含む分泌顆粒内でそれらと共存していることを明らかにした。ET-3はgonadotroph自身に作用してLHまたはFSHの分泌に影響を及ぼすのか(autocrine)あるいは、腺葉の他の細胞種に働くのか(paracrine)、今後、明らかにしたい。(2)雌ウシガエルでも非繁殖期にはET-3免疫反応が非常に弱く、雄では繁殖期でも反応が弱い。これらの結果は、特に雌の繁殖期にET-3が何らかの生理的役割を果たしている可能性を示唆する。(3)ラット下垂体では、免疫組織化学およびcell blotting法を行ったが、ET-3免疫陽性細胞は見出せなかった。 2。ET_B受容体の局在。 前年度に作製したET_B受容体の抗体を用いてラット視床下部を調べたところ、終板器官、正中隆起、脳室周囲原側域に陽性反応を示す神経繊維を見出し、これらの繊維がLHRH免疫陽性繊維であることが、同一切片二重染色法により明らかになった。しかしながら、ET_B免疫反応はLHRH免疫陽性の神経細胞体にはみられなかった。ETはET_Bを介してLHRH繊維に影響を及ぼす可能性がある。 3。ET-1のバソブレシン放出に及ぼす影響。 in vitroで、ラット神経葉にET-1を作用させたところ、バソブレシンの分泌が刺激された。しかし、用量〜反応間に一定の規則性が得られなかった。再度、実験する必要がある。
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