ウシガエルの精巣から精巣特異的タンパク質やプロタミンを採取する方法論について検討した。対照としてアフリカツメガエルやイモリ、ニジマスなどの精巣、ウシガエルの肝臓を用いた。各臓器をタンパク質分解酵素阻害剤を含む生理食塩水中でホモゲナイズ、遠心を繰り返し粗クロマチンを調製し、常法どうり酸抽出により塩基性タンパク質を得た。これらの標品をポリアクリルアミドゲル電気泳動(酢酸/尿素系、SDS系)により検定した。ウシガエル精巣を除く各臓器からは予想どうりヒストンと共にプロタミンと予想される染色バンドが認められた。しかしウシガエル精巣からはプロタミンに相当するバンドは検出できなかった。しかしプロタミンよりも高分子側に、対照とした肝臓には見られない新規のバンドが認められた。そこでウシガエルでは哺乳類型(すなわち、多数のCysによる架橋により網目状になり単なる酸抽出では抽出されない)の可能性を考えて還元/アルキル化後抽出を試みた。しかしこの方法でも新たなバンドは認められなかった。したがってウシガエルにおいては、少なくともプロタミンはこれまで知られているものとはかなり異なっていることが示唆された。今後カラムクロマトグラフ-による分別、分取を行い特徴付けを行う予定である。
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