1.1-メチルアデニン前駆体の同定: ヒトデ濾胞細胞内のアデニン関連物質を逆相カラムおよびイオン交換カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析したところGSS処理にともないATPのピークが有意に減少することを見出した。ATPの減少量は1-MAの生産量とほぼ一致していた。このことから、1-MAはATPを基質として生合成される可能性が示唆された。 2.1-メチルアデニン生合成系の活性調節: ヒトデ濾胞細胞にサイクリックAMP(cAMP)依存性プロテインキナーゼ(PKA)が存在することが確認された。PKAはcAMP濃度依存的に活性化し、70kDaタンパク質をリン酸化することが示された。今後、70kDaタンパク質のリン酸化と1-MA生合成の関係について検討する予定である。 3.1-メチルアデニンの受容体タンパク質に対する相互作用: 1-MAのアゴニストおよびアンタゴニストとなるべき15種類の1-置換アデニンを設計、合成したところ1-β-ナフチルメチルアデニンと1-アミノアデニンはアゴニストとして、1-p-ニトロベンジルアデニン、1-α-ナフチルメチルアデニンはアンタゴニストになることを見出した。1-MAに対するアンタゴニストの研究例は少なく、今後、1-MA受容体の標識試薬の開発に有用と思われる。
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