昨年度は、カイコ卵および脂肪体よりBCP前駆体の大量精製法を確立した。アミノ酸配列およびcDNAの塩基配列、酸素化学的な性質から、BCPは、カテプシン、パパインなどのシステインプロテアーゼとかなりの程度の類似性をもっているが、いくつかの重要な点で異なる。a)本酵素前駆体は未変性条件で異常に高分子量である。b)活性化に際して、C-末端側に切断が起こらない。c)プロペプチド部分に他のシステインプロテアーゼとの相同性低い。d)前駆体として卵黄顆粒中に多量に蓄積している。プロペプチド部(糖鎖を含む)は生合成後の細胞内輸送選別機構に重要な役割を持つ部分である。プロペプチド部に相同性のないことが、前駆体の異常な蓄積、特異的活性化機構など初期発生卵特有の機構の発現に関与している可能性がある。また活性化に際してプロペプチド部において3ヶ所の切断を受け、autocatalytic intramolecular reactionであること、様式はstepwiseな限定分解であることを明らかにした。
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