研究課題/領域番号 |
07640904
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研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
山下 茂樹 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30091250)
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研究分担者 |
中村 多紀子 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教務員 (70274545)
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キーワード | クモ / 夜行性 / 昼行性 / 視細胞 / 感度 / サーカディアンリズム / 遠心性ニューロン / 脳内光感受性細胞 |
研究概要 |
1.コガネグモの眼には感度の高い視細胞と感度の低い視細胞が存在し、感度の高い視細胞は恒常暗黒化で感度のサーカディアンリズムを示す。コガネグモは昼夜にわたって活動する、いわば昼夜行性のクモである。今回、我々は夜行性のオニグモと昼行性のハエトリグモの眼の感度のサーカディアンリズムを調べた。その結果、オニグモの眼には感度の高い視細胞が主に存在し恒常暗黒下で顕著な感度のサーカディアンリズムを示す事及び、ハエトリグモの眼には感度の低い視細胞が主に存在し感度のサーカディアンリズムを示さない事が明らかになった。コガネグモの感度の高い視細胞と感度の低い視細胞はそれぞれ、オニグモとハエトリグモの視細胞に対応していると考えられる。 2.コガネグモの眼の感度を調節する機能を持つ視神経遠心性ニューロンのインパルス放電頻度は脳光照射期間中増加する。今回、オニグモの脳と視神経からなる分離標本の視神経から遠心性のインパルス放電を記録した。分離標本からの遠心性インパルスは午前中に標本を作成してもほとんど記録されないが、夕方から夜にかけて標本を作成すると遠心性のインパルスはほぼ確実に記録される事から、正常個体のオニグモの視神経遠心性活動もコガネグモ同様に夕方から夜にかけて増加する事が予想される。しかし、オニグモの遠心性のインパルス放電は、コガネグモの場合とは逆に脳を光照射すると抑制された。この結果はオニグモの脳内の視神経遠心性ニューロンは、それ自体が光抑制性のニューロンであるか、または視神経遠心性ニューロンに対して抑制的に働く脳内光感受性細胞が存在することを示している。また、我々はハエトリグモの視神経からも電気的応答を記録しているが、ハエトリグモの視神経には遠心性ニューロンが存在しない可能性が高い。
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