研究概要 |
北海道太平洋岸、瀬戸内海において採集調査を行うとともに、九州大学農学部などに所蔵されているカジカ科魚類の標本調査を行った。過去2年間得られた知見も併せて日本産カジカ科魚類学的に検討し、さらに海外の研究機関の模式標本の借用あるいは調査依頼を行い、新たに得た標本とともに解析を行った。それらの結果を基に、日本周辺海域に産するカジカ科魚類の全て属を網羅した分類検索表を新たに作成し、分類学的に著しい混乱があったフサカジカ属、ホホウロコカジカ属、コオリカジカ属、マツカジカ属、サラサカジカ属などを含む15属の浅海性カジカ科魚類の種検索表と形態記載を行い、それらの結果について報告書としてまとめた。さらに、北海道南部沿岸で採集された標本に基づき、オシマオキカジカArtediellus neyeloviの稚仔魚の記載と形態形成に関する新知見について学会誌に発表した(Muto,Yabe,Amaoka,1997)。なお、当初計画されていた日本産浅海性カジカ類の種ごと分布図作成に関しては、従来からこれらの魚類の分類学的混乱が著しかったために、誤って記録報告されたものが多く、それらの標本に基づく再調査が必要になった。しかし、現時点では、それらの標本資料の再調査が十分とは言えないため、今後の課題とすることとした。
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