研究概要 |
平成8年度に18SrDNAの塩基配列が確定したものは、自生胞子を形成するクロレラ目のCoelastrum microsporum、Schizochlamydella sphaerica,Palmellococcus reniformis,Palmellococcus undulata,Pseudochlorella pyrenoidosa,Crucigenia sp.Closteriopsis acicularis var.africana,Lobosphaera maijorと遊走子を形成するParadoxia multiseta,Chlorosarina stigmatica,Radiosphaera dissecta,Tetracystis polymorpha,Neospongiococcum proliferaの13種である。 C.microsporumはすでに調べたDimorphococcusに近縁でScenedesmusと同じClade(1)をつくり、ChlorophyceaeのSphaeroplealesのなかで従来から提唱されているScenedesmaceaeを構成している。P.reniformisとP.undulata,Crucigenia sp.,L.maijorはTrebouxiophyceaeのなかで遊走子を形成する枝のなかに入ったが、前2者と後2者は別々のclade(2)(3)に位置した。細胞学的な特徴から見ればChlorophyceaeのSphaeroplealesに入ると予測されていたP.multisetaはP.reniformis、P.undulataとともに一つのグループを構成したが、これは入手先のCulture Collectionでの同定ミスの可能性がある。P.pyrenoidosaとS.sphaerica,C.acicularis var.africanaはTrebouxiophyceaeの自生胞子のみを形成する一つのclade(4)を構成した。以上4つのcladeが確認できたことから、クロレラ目は多系統であること、したがって自生胞子によってのみ増殖する方法は幾度か平衡的に進化したものであることが明らかである。 C.stigmaticaはChlorophyceaeのなかでChlorococcaceaeよりむしろChalmydomonasに近縁であることがわかり、ChlamydomonasのPalmella stageとC.stigmaticaの藻体の共通性を調べることは興味深い。R.dissecta,T.polymorpha,N.proliferaの3種は細胞学的見地から予測されたようにChlorophyceaeのChlorococcaceaeの緑藻が構成するcladeに入った。
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