ホウライツノゴケ(Anthoceros Formosae)の全RNAをCTAB法により調製し、ランダムプライムヘキサマーおよびリバーストランスクリプターゼを用いてファーストストランドcDNAを合成した。このcDNAを鋳型として、rbcLに特異的なプライマーセットを用いて、PCRを行いcDNAを増幅した。これをpUCベクターにつなぎ、クローニングした。得られたクローンからプラスミドを調製して、その塩基配列をジデオキシ法で決定した。この配列とゲノムDNAの配列を比較することにより、20か所でRNAエディティングが起こっていることを見つけた。このエディティングはこれまで他の葉緑体で見つかっていたCからUへの変換だけでなく、UからCへの変換も含んでいた。このエディティングの発見は、コケ植物で初めてのことで、原始的な陸上植物ほどより高頻度でエディティングが起こっている可能性をしめしたので、論文に発表した。また、この研究で得られた配列と他の葉緑体遺伝子の比較により、他のツノゴケや小葉類でのエディティングが予言できるので、論文を準備している。 同様な方法で、atpB転写物の塩基配列を決定して、28か所のエディティングを見つけた。この結果はホウライツノゴケの葉緑体では、ほとんどの転写物でエディティングが起こっている可能性を示しているので、発表するための論文を準備中である。 同様な方法でシャジクモのニテラからRNAを調製し、cDNAを作り、クローニングして、その塩基配列を解読している。
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