研究課題/領域番号 |
07650017
|
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
岸野 正剛 姫路工業大学, 工学部, 教授 (50201455)
|
研究分担者 |
松田 哲郎 姫路工業大学, 工学部, 助教授 (10047582)
吉田 晴彦 姫路工業大学, 工学部, 助手 (90264837)
|
キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 近接効果 / ホッピング伝導 / 局在準位 |
研究概要 |
昨年度に続いてDCTS (Discharging Current Transient Spectroscopy)を用いて、LCMO (La_<0.7>Ca_<0.3>MnO_Z)膜の200K以下の低温における電気的性質の測定を行った。その結果、DCTS測定で得られる過渡電流は、LCMO膜の性質が金属的な性質からホッピング伝導性、ホッピング伝導性から絶縁性に移るときに、それぞれ、その特性が変化することを見い出した。また、従来から行われている測定方法(電気抵抗の温度依存性測定から抵抗率の対数と温度の-1/4乗の関係を調べてホッピング伝導が起こっているかどうかをを調べる方法)でも検討を行ったたが、ホッピング伝導が起きる領域に関して両者は定性的には一致した。そして今回の過渡電流測定の方がホッピング伝導の起こる領域をより正確に判別できる点において優れていることも明になった。この過渡電流の測定結果から、LCMO膜の電気伝導機構は低温領域で変化することが明らかになり、スパッタリング法で成膜したLCMO膜は35K以下の低温では完全な絶縁性を示し、ホッピング電流は流れないことが明らかになった。また、絶縁性を示す状態ではLCMO膜の局在準位を測定することもできた。したがって、LCMO膜をI層として使ったS-I-S三層接合には4.2K近傍ではホッピング電流は流れないことがわかった。この結果から、LCMO膜の成膜方法にも依存するが、高温超伝導体とLCMO膜を使ったS-I-S三層接合に超伝導状態で流れる電流をホッピング伝導で説明することは必ずしも妥当でないことが明らかになった。
|