1)本研究費により購入したマニピュレータにより、試料の位置決め精度が向上し実験データの信頼性が上がった。また従来試料の温度は室温より上でしか実験できなかったが、現在約マイナス100℃から1000℃までの範囲で、吸着脱離の実験ができるようになった。 2)TDS(昇温脱離分光法)の精度を上げることを試み、特に試料の温度制御をより完全なものにした。その結果小さなピークも正確に検出できるようになった。 3)MDS(励起原子脱励起分光法)のビーム強度を上げてシステムとしての測定感度を上げ、その結果として分解能を向上させることができた。 4)重水素とアルカリ金属(ナトリウム、カリウム)の共吸着の系について、主にMDSとTDSにより多くの結果を得た。あらかじめ重水素を吸着させておいたシリコン表面にナトリウムを後から吸着させると、重水素のおよそ半分が脱離し、残りはNaDを形成する。5層のナトリウムを蒸着しても表面には重水素とナトリウムの結合が見られる。 5)現在吸着分子の電子ビーム露光の影響を調べているが、本装置を購入してから本報告を書くまでの期間が短かったので、現在の段階ではまだ不十分である。引き続き研究を続けるどこかで結果を公表したい。
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