Siプロセスにおいて、LSIの超高密度化、超高速化に伴い、素子の超微細化や立体化が必須となり、きわめてシャープな不純物分布や新しいヘテロ構造の導入が要求されつつある。また、このような、デバイスへの応用研究と並行して、ヘテロ界面の原子構造や界面反応の解析も進歩し、エピタキシ-研究もその成長機構をミクロに考察できる段階に達しつつある。しかし、ヘテロエピタキシ-の物理現象はまだ解明されるまでには至っていない。本研究では、界面中間相がどのようにヘテロエピタキシ-を規制しているのかを系統的にしらべることを目的とした。 本年度は、Si(100)表面への低エネルギーイオン蒸着によるSiヘテロ界面形成と制御に関する基礎として、昨年完成させた簡便な電子衝撃型Biイオン源を用い、エネルギーと質量の揃ったイオンビームを超高真空チャンバー内に導くため、静電偏向器とウイーンフイルタ型質量分析器および減速レンズシステムを含み、差動排気系を備えた、ビーム輸送部を完成させた。このビーム輸送部を取り付けたことにより、Biイオン源からのビームに含まれるイオン種、不純物イオンなどが選別でき、目的のイオン種のみを試料表面に供給できるようになった。これは、昨年できなかった部分である。実験から、質量の揃った低エネルギーBi^+イオンビームをSi(100)試料表面に供給できることが確認された。また、低速イオン散乱法による、Biイオンビーム蒸着表面の"その場"観測にも成功した。Biイオンビームとして50-550eVのエネルギー範囲のものを、Si(100)-2x1清浄表面にイオン蒸着させられることが判明した。
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