色票とCRTディスプレイの色刺激の色評価実験を6名の被験者において遂行し、色度図上の等色相線を求め被験者内での観察条件による相違、同じ観察条件下での被験者間の相違について分析した。 観察条件としては1)色票、2)CRT灰色背景、3)CTR黒背景、の3種を採用した。これまでの研究では色票刺激のみ、または光源色刺激のみでの実験があり、それらの等色相線の結果は特に赤領域で顕著に異なるものであった。しかし異なる研究者による報告なので被験者も実験手法も異なり、各々の結果の相違の原因が明確ではなかった。そこで本研究においては、同じ被験者群、同じ手法を用いて、見えのモードのみを変えて実験を行った。それにより色票と光源刺激での等色相線の相違に対する見えのモードの寄与が明らかになる。上記観察条件の1)と2)は物体色モード(表面色モード)で、3)は光源色モード(開口色モード)である。 色評価実験は同一のテスト刺激に対して、反対色型色相評価とカテゴリカルカラーネ-ミングの2種行った。色票は92色(平均輝度68.6cd/m^2)、CRTは灰色背景と黒背景各々56色(平均輝度31.9cd/m^2)のテスト刺激に対して、各被験者で6セッションずつ色評価実験を行った。 各測定点での色相評価をもとにユニーク色と二色均衡色の等色相線を描いた結果、以下の知見が得られた。(1)同一の被験者、同じ実験手法にも関わらず、色票・CRT灰色背景・CRT黒背景で等色相線の相違が見られた。(2)特にユニーク赤で従来までの研究における色票と光源刺激の相違と類似した傾向の顕著なずれが見られ、見えのモードの相違が先行研究における等色相線のずれの主要因であると示唆された。
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