1。光子対光源 Arレーザー(波長458nm)を光源として、非線形結晶にBBOを用いて、タイプII位相整合でパラメトリックを発生させ、その出力も期待された値に近いことを確認した。また発生光の偏光特性を利用して2個の光子を分離して光子対する方法を確立した。ただし共振器による高効率化については、当初の計画に比して十分でなく最終的な出力は10nW程度である。 2。高効率光検出器および計測回路の作製 量子効率の高い光検出器としてアバランシェフォトダイオード(APD)を選定した。APDおよび前置増幅器の設計製作が終り、実際に光子検出効率、暗電流の測定を行った。暗電流は素子を液体窒素温度まで冷却することによって、数カウント/秒となり、予想通りの結果を得た。検出効率は現在10%以下である。これは前置増幅器の雑音が熱雑音の6倍あるためであり、その改善によって効率も50%を越えるものと予想される。 3。光子対光源による分光計測感度の向上を試算した。検出器効率が数十%以上のとき、通常の光子統計雑音と比較した向上の割合を検出器効率の関数として計算し、必要とされる効率を求めることが可能となった。 4。偏光解析系: 偏光解析装置については、消光比の改善を主眼に装置の改良を行った。消光比は10^<-10>の桁まで減少させることができた。また磁場印加にともなう光学系の微動、消光比の劣化などについても防振、磁気遮蔽などにより、その影響を十分に除去することが可能となった。
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