パラメトリック光学過程を用いて光子対を発生させ、光子対間の強度の相関を測定して、ゆらぎの減少を確認する。その結果に基づき偏向分光法への応用を検討する。 1.光源にはArレーザー(454nm)を用い、LBO結晶によってパラメトリック光を発生させた。角度整合法により第2種位相整合を行い、互いに偏光面が直交する2つのパラメトリック光を得た。入射光強度が140mWのとき、出力は約20pWであった。 2.光検出器として、アバランシェフォトダイオードを用いた。液体窒素温度まで冷却し、暗電流を減少させた(冷却時、増幅率100で0.01pA以下)。本研究では、動作特性の安定性を考慮して、増幅率を500程度として線形モードで使用した。このため、光電流パルス波高が小さく、当初予定した単一光子計数法では最終的な検出効率が10%以下となるため、アナログ測定とした。 3.2つのパラメトリック光を偏光プリズムで分け、それぞれを光検出器で検出し、その出力の差を高感度電流計で測定した。(300回の測定の平均値を求めた。1回の測定時間は0.62秒)相関のない光についても同様の測定を行い、それぞれについて出力のゆらぎを測定した。その結果、パラメトリック光の強度差のゆらぎは無相関のそれに比べて、17%小さくなることを確認した。この値は検出効率などを考慮した計算の結果と一致している。 以上のように、光子対光源を用いてゆらぎの減少を示し、偏光分光法の感度向上に応用できることを確かめた。
|