1 外部結合のある光閉じ込め系のモデルとして単一の誘電体板よりなる平板マイクロキャビティを考察した。まず、放射場の量子化のためにキャビティの外部の左右の充分遠方に仮想的な境界を設定し、これらの境界に関して放射場に周期境界条件を課して、マイクロキャビティを含む領域での正規直交系を求めて基準モードとし、それらの性質がモードの規格定数で決まることを見出した。次に各放射モードを量子化し、キャビティに部分的に閉じ込められた真空場の態様を吟味した。 2 これらモード群と二準位原子との相互作用を回転波近似および双極子近似のもとで、非摂動的に解析した。初期に上準位にあった原子の運動は、真空場により駆動され、放射の情報がキャビティの境界から反射により戻ると、ただちにその影響を受ける。以後はキャビティによる多重反射と原子-放射場の相互作用が継続し、最終的には原子のエネルギーは放射へと変換される。この際外部への放射場、特にそのスペクトルを解析し、原子位置により左右への放射が非対称となることがあることを見出した。さらに、単一共振器モードの極限では、損失熱浴と単一モードから出発する解析結果が復元されることを示した。 3 調和振動する点電流源にたいする空間の応答関数を定義し、これを用いて上記の放射諸特性の表記を物理的に解釈し易い形式に書き換える可能性につき検討した。その結果、真空場の相関関数、原子の減衰運動、自然放出スペクトル、自然放出率をこの応答関数を用いて記述し得ることを示した。
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