本年度は、近視野光学に関する基本となる積分方程式(導波モード分離型積分方程式)を導出、その詳しい内容に関する論文発表をした。これは、1996年の電子情報通信学会論文誌に掲載が決定している。新しい積分方程式に基づいた境界要素法コードを製作し、2次元微小粒子光マニュピレータのシュミレーションを行った。その結果、使用する光の波長、偏光方向を変化させることにより、微小粒子が受ける力をコントロールできる可能性がある、等多くの興味ある結果を見つけることが出来た。 上記シミュレーションを走査型近視野顕微鏡のような、より複雑な装置に応用するためには、少なくとも10000x10000の複素数密行列が取扱える専用システムの構築が不可欠であるが、DECのアルファチップを利用した高速専用システムの開発のためのソフトウエアを製作した。このシステムを使って二次元走査型近視野顕微鏡のシュミレーションを行ったが、シミュレータとしてはあまりに速度が遅く、意味のある結果を得ることはまで出来ていない。今後、このシステムの並列化、およびハードディスクの高速化を図る必要があるものと考えている。 以上の結果は、電子情報通信学会全国大会、電子情報通信学会光エレクトロニクス研究会、電子情報通信学会電磁界理論研究会、光学連合シンポジウム、近接場光学研究グループ研究討論会、バーチャルシステムとマルチメディア国際会議で口頭発表を行った。
|