コアとクラッド材に屈折率の波長依存性の大きく異なる材料を用いて分散性光ファイバを製作した。作製にあたっては、屈折率波長曲線が交差するようにコアとクラッドガラスの選定を行い、選定されたガラスを用いて母材を製作した。分散性光ファイバの伝送損失を低減するために、母材表面を研磨することによって損失を大幅に低減させ、実用の域(数dB/m)にまでに小さくできることを示した。 製作した分散性光ファイバの精密な導波特性の予想は困難であり、また様々な導波特性をもった分散性光ファイバを作るにはガラスの種類が限られていた。このような問題を解決するために、アニールによる導波特性の制御法を開発した。この制御法は、2種類の光学ガラスの転移温度差を積極的に利用し、どちらか一方の屈折率のみをアニールによって大きく変化させ、導波特性を制御している。このことは、同じガラスの組合せであっても、導波特性の大きく異なる分散性光ファイバができることを示している。また、アニールの条件を調整することによって、導波特性が精密に制御できることを示した。 低損失分散性光ファイバが製作できるようになり、またその導波特性も精密に制御できるようになったので、分散性光ファイバを用いて、広帯域単一モード光ファイバ、チューナブルな光フィルタ、モードフィールド交換器などの試作を行った。製作された光ファイバやファイバ形光デバイスは、通常の光ファイバを用いては実現することが困難な特徴をもっていることを示した。
|