1.Mieの散乱理論に基づき、球形微粒子による側方散乱のシミュレーションホログラムを作成した。 粒径dと粒子散乱体から記録面までの距離Zおよび画面の大きさ(一辺L)を与え、干渉パターンの強度を512×512点で計算し、256階調の画像を作る。この画像を、フィルムレコーダを用いて35mmフィルムに撮影すると、M=23.5×10^3/L倍に拡大されたホログラムが得られる。 ここで、距離Zに対するLは、散乱光の取り込み角、記録される情報量を決める重要なパラメターとなる。 このホログラムは、粒子が約1ミクロン以上になると、粒径によって大きく異なった特徴あるパターンを示すことが分かった。 2.得られたホログラムHe-Neレーザによる光学的再生実験により以下の知見が得られた。 (1)再生像は、距離Zの(M×M)倍の位置で、M倍の像が再生されること。 (2)粒子が小さいと円形の光点を結像するが、粒径が1ミクロン以上になると、球形粒子であるにもかかわらず、円形の再生像とならないで、Mle理論による特定方向への散乱光放射パターンを反映した像となる。 (3)再生像の特徴パターンは、ホログラム作成時のLとZの比で決まる取り込み情報量に左右される。 3.実験的に側方散乱ホログラムを得るために、参照光が粒子を照射しないように工夫した装置を提案。 これらの成果は、平成8年度応用物理学会九州支部講演会(予講集p89)、光学連合シンポジウム福岡'96(予講集p.115)、平成8年度微粒化シンポジウム(講演論文集p182-185)で発表している。
|