平成8年度には、平成7年度の結果から、散乱線の除去および散乱線で劣化した画像の画質改善を目的に研究を行った。本年度の研究結果を次にまとめる。 1.昨年度の研究結果から、検出器に到達するX線強度が一定になるように被写体にX線を照射すると、散乱線の画像への悪影響が少ないことが分かっていた。実験的に確認するため、照射X線量を制御するAlフィルタを設計し、試験機で実験を行った。その結果、シミュレーションで予想したように、散乱線の再構成画像への悪影響を少なくすることが出来た。現在、最適なフィルタの設計を行っている。 2.上で設計したフィルタでも取り除けない散乱線の影響で画像のコントラストが低下し、二次元CTと比べ画質が悪い。画質改善のため次のように処理方法を検討している。 ・二次元画像の画像処理に利用されてきた手法を三次元画像に拡張し、再構成後の三次元画像に処理を行い画質の改善を検討している。 ・二次元の投影データに二次元の画像処理を行った後、三次元画像再構成を行い、画像処理の影響が再構成画像にどの様な影響を及ぼすかを検討している。 ・ウェーブレット変換を応用し、再構成時に多重解像度解析を行い、コントラスト強調やノイズ除去の処理を行うことで、再構成画像の画質改善を検討している。 最後に、本年度は試験機で成人男子の撮影が出来、人体データを対象に再構成画像の画質評価を行った。これは本年度の研究費でメモリを大幅に増設できたため可能になったことを報告しておきます。
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