研究概要 |
コーンビーム型3次元CT装置は、2次元投影データを用いるため、ヘリカルスキャン型CT装置に比べ、短時間で3次元画像を再構成できる、人体の体軸方向に対し高い空間分解能を持つ、等の利点がある。しかい、被検体で発生した散乱X線の除去が難しく、再構成画像の画質は劣っている。本研究では、コーンビーム型3次元CT画像の画質改善の研究を行い、下記のような成果を得た。 1,モンテカルロシミュレーションで2次元投影データにデータに含まれる被写体から発生した散乱X線の強度分布を定量的に解析した。このシミュレーション結果を基に、散乱線を含む投影データと3次元再構成画像の関係を定量的に明らかにした。また、この関係を実験でも確認した。 2,シミュレーションの結果、照射線強度分布を制御できると散乱線を減少できることが分かった。この結果を基に実際に照射線量分布の制御を行い、3次元再構成を行った。再構成画像でのCT値低下の割合が減り、画質の改善が確認された。 3,さらに画質を改善するため、投影データまたは再構成画像への処理方法を開発した。各処理方法でCT値低下の軽減、ノイズの除去やコントラストの改善に効果があった。また、ウェーブレット変換を用いた方法では、再構成時の補正フィルタを容易に設計でき、余分な再構成時間を費やすことなく画質改善ができた。 コーンビーム型3次元CT画像の画質は医用診断の能力の向上でなくてはいけない。現在、臨床実験を通して、上の研究成果の確認作業が行われている。今回の研究は、コーンビーム型CT装置の欠点を改善するもので、本方式のCTの実用化に有用であると考えている。
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