イオンシースのシース電圧とプラズマパラメーターとの関係 1.実験(分担者:菅原) 気圧(使用ガス:Ar)、RF電力(5-100w)をパラメーターとして、シースの電圧降下を測定した。シースの電圧降下の測定には、グリッド型エネルギーアナライザーおよび127度型静電イオンエネルギーアナライザ(多重波高分析器を補助金で購入)を用いて、イオンのシース電圧により加速されたエネルギーを測定することにより推測した。 (1)シース電圧と動作気圧の関係 主な結果としては、p=0.01〜0.1Torrの範囲では、シース電圧は気圧と共に緩く降下した。また、p>0.1Torrを越えると急に下降した。 (2)シース電圧とRFパワーの関係 RF電力入力と共に急上昇する結果を得た。 (3)RF印加電圧と気圧の関係 p=0.1-0.01Torrの範囲では気圧と共に緩く、p>0.1Torrでは急に下降し定性的には、シース電圧と気圧の関係に一致する結果を得て、シース電圧の気圧依存性をRF電圧振幅の気圧依存性により説明できた。 2.理論的解析(分担者:菅原) 周波数 13.56MHzでは、イオンのシース内走行時間>>電圧の半周期となるので、イオンの運動は 1次近似では直流電圧印加の場合に一致するとして取り扱った。イオンの運動は移動度により支配され、プラズマの発生は単位体積に加えられるRF電力に比例すると仮定し、イオンの空間電荷制限理論を用いてシース電圧と気圧およびRF電力との関係を理論的に導いた。その結果は、測定結果を十分説明でき、シース内におけるイオンの電導機構は移動度支配のイオン空間電荷制限電流により説明できた。 3.計算機シミュレーション(分担者:松岡) Monte-Carlo法を用いて、衝突を考慮しまたDC電圧にRFが重畳された場合でのシースの電圧-電流の関係を導いた。
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