| 研究概要 |
従来のディジタル画像を,画素にたよらない新しい方法で表現し利用することを検討した.2値画像は,図形領域の境界を多角形またはスプライン曲線を用いて表現し,一般の濃淡画像は,画像領域をxy平面上にとり,各点の濃淡値をz座標にとって,スプライン曲面として表現する方法を採用した.そして,与えられたディジタル画像をこのような表現に自動変換する方法を構成した.
また.このように表現された画像の操作性を調べるために,拡大・縮小変換の影響を調べた.従来のディジタル画像では,一辺の長さを整数倍に拡大すると,ぎざぎざが目立ち,また非整数倍することは直接にはできない.それに対して,本研究の表現法では,任意の実数倍が素直に定義でき,しかもぎざぎざが拡大される心配もない.この性質を実験によっても確認することができた.
さらに,多角形で表現された図形に対するいくつかの距離変換型演算のアルゴリズムを構成した.多角形に対するボロノイ図の数値的に安定な構成法を実現するとともに,方向ごとにことなるスケールで膨張・収縮するための方法として,多角形同士のミンコフスキー型演算のアルゴリズムも構成した.これらのアルゴリズムを実際のプログラムに組む際には,数値誤差や退化が発生しても安定して動作するよう設計した.多角形ボロノイ図のプログラムには位相優先法を適用し,ミンコフスキー演算には,記号摂動法を適用した.そしてこれらのプログラムが有限精度の実際のコンピュータで安定に動作することを確認できた.
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