研究概要 |
平成7年度は主に以下のような研究成果を得た. 1)第1の材料である炭素繊維/ポリイミド樹脂複合材(A材)の非主軸静的引張試験を実施した.すなわち,一方向強化繊維方向と引張軸が0°,15°,30°,45°,60°,90°の角度をなす平滑試験片の引張試験を行い,変形と静的強度の異方性を明らかにした.弾性特性は,延性の低いエポキシ樹脂を用いた場合と同様,直交異方性弾性理論により精度よく予測できた.破壊強度については,Tsai-Hill則による予測とよく一致した. 2)A材の非主軸疲労強度特性を調べるため,一方向強化繊維方向と引張軸が15°,30°,45°,90°の角度をなす平滑試験片の引張疲労試験を実施し,その異方強度特性を明らかにした.SN曲線は,各非主軸角について,ほぼ線形的な疲労挙動を示し,非主軸角が大きくなるほど,急激に疲労強度は低下した. 3)繊維強化複合材料に対して提案されているHashin則を取り上げ,その予測と実験結果を比較した.このモデルは,基準角度(3角度)の疲労挙動に基づいてその他の非主軸角に対する実験結果を予測するものである.得られた計算結果は,実験結果と良好な対応を示した.併せて,最大応力に基づく予測も試みたが,Hashin則に比べて精度の低いことが判明した.なお,Hahinモデルでは,疲労損傷と損傷変数の対応が必ずしも明確でないという問題点が明らかとなった.現在,この点の改良に向けて準備を進めている. 4)静的破壊および疲労破断面の軟X線観察を行った.
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