研究概要 |
人間の認識・判断を帰属度を有するファジ-集合として定義すれば,一般的な集合的表現よりも自然に近い形で表現可能であると判断される.そこで,各因子間の定性的な関係を,質的情報のファジ-集合と考えれば,推論過程はファジ-集合間のファジ-写像として,より定量的にモデル化できると考えられる.本研究では,熟練者からの知識獲得法,推論方法のモデル化に関する研究を行った.まず,破損の時期と破損の種類の各因子間などには,確信度が熟練者与えられている場合を考える.この確信度は認識や判断のあいまいさにを有する質的データ(大いに関係有り,全然関連性なし等)として与えられる.このデータをファジ-集合と考え,ファジ-数量化理論を適用して以下の結果を得た. (1)ファジーメンバシップ値の解析:ファジ-数量化理論第2類に基づき,破損の種類を介して原因の各因子の対策に対するサンプル数量を決定した.これにより,外的基準空間が定量化され,熟練者の判断,認識の誤りを修正することができた.(2)各因子のカテゴリーウェイト解析:例えば,破損の種類としてクリープの可能性が高いが疲労破壊の可能性も若干ある場合にその対策を決定するためには,破損の種類の各因子の対策の各因子に対する帰属度が必要とされる.そこで,ファジ-数量化解析を行い,正の因果関係,負の因果関係などをカテゴリーウェイト値として定量評価し,カテゴリー空間から実空間への写像関数を決定した.(3)熟練者の潜在知識の把握:メンバシップ値から,ファジ-数量化理論第3類に基づき各因子が有する,温度,応力,材料,環境などに関する,陽には現れていないいわゆる“隠れた知識"を抽出し,獲得知識の把握を行った.
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