研究概要 |
本年度の研究は,次の二点を中心に行った. (1)金属積層板の引張り曲げ破断限界の理論的検討 (2)難加工層を有する金属積層板の曲げ成形性 以下ではそれぞれの研究成果の概要を述べる. (1)金属積層板の引張り曲げ破断限界の理論的検討 ステンレス鋼/アルミニウム積層板を用い円弧ダイスに沿う引張り曲げ実験を行うことにより,破断荷重を調査した.破断荷重はダイズ肩半径が小さいほど小さくなることがわかった.変形抵抗の大きなステンレス鋼が曲げの外側にくるときにはその逆の場合よりも破断荷重が小さいことが明らかとなった.これは,曲げの外側に位置する材料ほど板厚減少が大きくなるためである.また,塑性解析により求めた最大荷重は実験における破断荷重と比較的良く一致していた. (2)難加工層を有する金属積層板の曲げ成形性 クロムは室温では脆性を示し,DBTTがおよそ400Kである.クロム板をアルミニウム板あるいは鋼板と積層することにより,曲げ加工性の改善を試みた.クロムクラッド鋼板では鋼板が曲げの外側となるようにするとDBTTは室温付近まで下がり,クロムクラッドアルミニウム板ではアルミニウム板が曲げの内側となるようにすると320K程度まで下がった.このように難加工在も加工性の良い板と積層することによって成形性が向上することが確認できた.
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