ステンレス鋼表面に高周波プラズマCVDを用いて、まずケイ素膜を被覆した。その膜厚を400Å及び800Åの2種類に変えた。その後、ダイヤモンド状炭素膜を被覆した。その膜厚は、0.4μmであった。このダイヤモンド状炭素膜に対してベアリング鋼及び黄銅のボールを押しつけてすべり速度、44mm/sのもとで摩擦・摩耗試験を行った。ダイヤモンド状炭素膜の被覆によってステンレス鋼の摩耗を大幅に低減させることができた。しかし相手材がベアリング鋼か黄銅かによって、その摩耗挙動が異なった。ベアリング鋼の場合、摩耗の進行は遅く、DLC膜が引っかき傷を作りながらはく離するのに対し、黄銅の場合凝着とはく離を繰り返してDLC膜の摩耗が進行する。
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