研究概要 |
イオンプレーティング法を用いて,高速度工具鋼(SKH2)の表面に直接1μmのDLC(ダイヤモンド状炭素)膜を被覆した試験片について,被摩耗材としてベアリング鋼(SUJ2)と超硬合金を用いてボールオンディスク摩擦・摩耗試験機によりDLC膜の摩擦・摩耗挙動を調べた。試験条件はすべり速度25mm/s,垂直荷重1N及び5Nと変え,すべり距離を5kmとした。得られた結果は以下のとおりである。 1)DLC膜の被覆が相手材の摩耗量と摩擦係数を低下させた。 2)DLC膜被覆材に対して相手材の硬度が増加すると,相手材の摩耗量は減少したが,逆にDLC膜の摩耗量は増加する。 3)負荷荷重が増加すると相手材及びDLC膜ともに摩耗量が増加した。 4)相手材がベアリング鋼で,負荷荷重5Nのとき,すべり距離が3kmを越えると,マイルド摩耗形態に遷移した。 5)相手材がベアリング鋼のとき,PLC膜が無ければ,摩擦係数はμ=0.35〜0.4であるのに対し,DLC膜の被覆によってμ=0.1まですべり距離によらずに低下する。
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