研究概要 |
1 疲労損傷累積過程の取扱い方法という観点から従来の研究を精査した結果,確率変数モデル,マルコフ連鎖モデル,確率微分方程式モデル,局所平均モデル,出生過程モデル,並びに本研究における死点を考慮したマルコフ近似モデルという6つのモデルに類型化できることがわかった。このうち本研究の理論モデルが工学的基礎がはっきりしており,取扱いも簡便で最も有用であることがわかった。 2 疲労き裂進展過程に付随する様々な不確定要因を勘案して,不規則荷重を受ける構造部材のき裂長並びに残存寿命分布(き裂が初期長からある所与の長さまで成長する寿命の分布)の理論モデルを構築した。 3 当該分布モデル中に含まれるパラメータ(小数)については,き裂進展則そのものに現れる物理的パラメータと荷重や材質の不規則性に関連した統計的パラメータとに分類される。一般に後者のような統計パラメータを正確に特定するためには統計的実験を必要とするが,これを比較的小数の非統計的実験データから推定する手法を構築した。 4 理論分析モデルに基づいた耐疲労信頼性設計システムについて検討した。
|