研究概要 |
分散協調問題解決および並列処理に関する国内外の研究を調査した.この結果,分散協調問題解決は部分問題を解決するエージェント同士が,契約,衝突,調整,委任などのコントロールをもとにシステム全体の問題を解決して行くアプローチで,並列処理に向き,資源配分問題などの最適化問題に適応できることがわかった次に,構造解析と最適化のための同期および非同期並列アルゴリズムを研究した.この結果システムの要素数が多くなった場合には非同期型アルゴリズムが有用であることがわかった.そこで,1プロセッサ用の構造解析と最適化のためのアルゴリズムを並列処理に適応できるよう変更し,並列処理言語で記述し,並列計算機で動作の確認を行い,並列処理により生じる新たな問題を解決した.次に,センサやアクチュエータ機能を持つ能動部材を考え,これらの挙動に関する知識ベースを構築した.これを用いることにより形状可変トラス構造などの,インテリジェント構造に関する形態解析および構造解析を行うことができた.最後に,要素の相互作用に基づく分散並列最適化の手法を研究し,新しいアルゴリズムを開発することができた.このアルゴリズムは分散した要素が種々の制約条件を基に要素の資源を調整するプロセスからなっており,この方法はいくつかの問題で有効な最適解をもたらすことがわかった.こうした方法は従来の非線形計画法などの集中的な最適化ではなく,並列処理に適したものである.また,複雑な制約条件を容易に組み込むことができる点でも優れている.また,解析と最適化を完全に統合化することができるため,動的な環境に対する適応性も高いと考えられる.
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