研究概要 |
本研究の第一段階として,今年度は圧電セラミックスと等方性材料によって構成される二層複合平板を対象に固体変位素子についての研究を行なった.その概要は以下の通りである. 初めに,二層複合平板において,等方性材料層の自由表面に既知の媒質加熱と圧電セラミックス層の表面間に電位差分布が作用する場合の順問題を理論解析した.併せて,数値シミュレーションを行ない,圧電セラミックス層の表面間に加える電位差の大きさが複合平板の力学的及び電気的挙動に及ぼす影響を明らかにした. 次に,二層複合平板において,等方性材料層の自由表面に未知の媒質加熱が作用した場合、熱変形に起因して圧電セラミックス層には電位差分布を生じるが,その電位差分布から未知の媒質加熱の温度分布を決定し,さらに等方性材料層の自由表面の垂直変位分布を導く逆問題の理論解析を行なった.併せて,数値シミュレーションも実行し,検出された電位差分布と導いた等方性材料層の自由表面における垂直変位分布との関連について検討した. 上記の二つの問題を組み合わせた問題の理論解析と数値シミュレーションを行なった.そして,等方性材料層の自由表面に生じている不均一な変形を,例えば平面など,任意の状態に制御するために必要な圧電セラミックス層の電位差分布は,熱負荷に起因して圧電セラミックス層に生じた電位差分布から導けることを明らかにした.つまり,等方性材料層の自由表面における媒質温度の変化に自由的に対応して表面の垂直変位分布を規定された状態に制御できるインテリジェント固体変位素子を提起することができた. 今年度得られた研究成果は論文として公表する予定である.
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