研究概要 |
『自己制御型固体変位素子に関する基礎的研究』は今年度で2年目となる.昨年度は圧電セラミックス板と等方性材料板によって構成される二層複合平板に定常熱負が作用する場合を対象に,固体変位素子に関する解析的研究を行なった.その結果,等方性材料板の形状状態を制御する圧電セラミックス板の印可電位差はかなり大きくなる等の問題点が示された.そこで,これらの問題点を解析するために,今年度は概ね研究計画に従って次のような研究を行なった. 1.圧電セラミックス板に印加する電位差を小さくするために,一つの等方性材料板は二つの電圧セラミックス板が接着された三層複合平板に定常熱負が作用する場合を対象に固体変位素子に関する解析的研究を行ない,等方性材料板の変形状態を制御する電圧セラミックス板の印可電位差を導いた.併せて,数値シミュレーションも行ない,印加電位差,弾性変位及び応力の分布等を示した.その結果,三層複合平板の場合の印加電位差は二層複合平板の場合に比べて約40%小さくなり,さらに圧電セラミックス板を薄くすると印加電位差は小さくなること等が明らかになった.しかし,圧電セラミックスに生じる引張応力は三層複合平板の場合の方が二層複合平板の場合よりも約50%大きくなる等の問題点も示された. 2.実用化を考えたとき,固体変位素子が非定常熱負荷を受ける場合について検討しておくことも重要である。そこで,電圧セラミックス板と等方性材料板の二層複合平板に非定常熱負荷が作用する場合を対象に固体変位素子に関する解析的研究を行ない,等方性材料板の非定常な変形状態を制御する圧電セラミックス板の印加電位差を導いた。さらに,数値シミュレーションを行ない,印加電位差,弾性変位及び応力の分布の時間的経過等を明らかにした.また,時間が十分経過したときの数値結果は平成7年度の数値結果に一致することも確認された.
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