| 研究概要 |
周囲媒質の濃度変化に適応してサブミクロンのオーダーで微小変位分布を制御できる固体変位素子について解析的研究を行った.数値シミュレーション結果から導かれた成果の槻要は次の通りである.
1.平成7年度に得られた研究成果の概要 等方性構造材料層と圧電セラミックス層からなる二層複合平板を対象に,周囲媒質の温度変化によって等方性構造材料層の自由表面に生じた不均一な変形を任意の状態に制御するために圧電セラミックス層に印加する電位差分布等を明らかにした.つまり,周囲媒質の温度変化に自動的に適応して表面の垂直変位分布を規定された状態に制御できるインテリジェント固体変位素子を提起した.
2.平成8年度に得られた研究成果の概要 平成7年度の解析モデルと同じ二層複合平板を対象に,非定常熱負荷が作用する場合の解析的研究を行い,印加電位差の時間的経過等を明らかにした.次に,印加電位差を低くするために,一つの等方性構造材料層に二つの圧電セラミックス層が接着された三層複合平板を対象に固体変位素子に関する研究を行った.その結果,印加電位差は三層複合平板の方が二層複合平板よりも約40%低くなり,さらに圧電セラミックス層が薄くなるのにつれて低くなること等が明らかになった.
3.平成9年度に得られた研究成果の概要 一般的な多層層状複合平板として,一つの等方性構造材料層とn(≧3)個の圧電セラミックス層によって構成される多層複合平板を対象に固体変位素子に関する解析的研究を行った.その結果,圧電セラミックス層が増えると或は薄くなると,印加電位差は低くなるが,圧電セラミックス層の最大せん断応力と最大引張応力は相反する挙動を示すこと等が明らかになった.今後,研究成果を取りまとめて,固体変位素子を最適設計するために必要な基礎的資料を論文として公表する予定である.
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