研究概要 |
超高速切削加工における工具損耗現象と加工現象との関連究明を目的として,過酷な刃先環境の実態,とくに高温度場と高応力場を高い時間分解能でモニタリングする手法について検討した.すなわち,高応答周波数で高感度の衝撃荷重計測用センサ(インパクトセンサ)を利用した切削動力計を新たに設計・試作するとともに,高時間分解能赤外線放射温度計を用いた刃先温度の計測システムの可能性について検討した. 第1年度には,切削動力計の設計・試作とこれに静荷重および衝撃荷重を疑似的に負荷した場合の基本性能を評価した.その結果,試作した切削力動力計が目的を達するに十分な性能を具備していることを検証し,実用性を確認した. 第2年度には,現有の超高速切削加工装置に試作した切削動力計を搭載し,主軸回転速度40000回転/毎分時までの4枚刃エンドミル工具の1切れ刃当たりの切削力変化を高精度かつ再現性良く計測することに成功した.これを利用して,各種被削材を対象に切削速度,切込み量および工具ねじれ角等をパラメータとした加工実験と工具摩耗試験を行い,切れ刃当たりの切削力の特異性と工具損耗因子究明の糸口を見いだした.また,この手法が,超高速切削に敵した工具形態や工具損耗の評価に極めて有効であることを示した.これと並行して,現有の光ファイバー式赤外線放射温度計を改良し,上述条件にて加工中の工具切れ刃当たりの温度時刻歴を計測できることを確認した。
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