研究概要 |
本研究は,ダイヤモンド砥粒を接着剤で塗布した帯状のポリエステルフィルムを工具とし,工具支持体の粘弾性効果を利用して硬脆材料を高能率かつ高精度で加工する方法を確立すると共に,その適用範囲と応用分野を把握・検討することを目的としている. 本研究課題の目的を達成するために,粘弾性効果など工具-工作物間の接触状態の変化を明確にすることがまず第一に必要であり,さらに,その特性を有効に利用した研磨システムを構築した. 本年度実施した研究課題ならびに得られた結果の概要は下記のとおりである. 1.圧電素子の急速変形と微小変位機能を利用して,微小な変位を繰返し加える加振実験装置を作成し,工具を支持するコンタクトロールのゴムの周波数特性を測定した.さらに,ゴムの周波数特性より、その粘弾性的性質を明らかにし,3要素モデルまたは4要素モデルで近似できることを確認した. 2.スローアウェイ型ダイヤモンドフィルムを使用する研磨システムを利用して,各種の切込制御を行った場合について,法線抵抗の変化から工作物と工具の接触状態の変化を明らかにした.その結果,特に切込速度が接触状態に及ぼす影響が大きく,実際に研磨を行う場合には,粘弾性的性質など動的特性を考慮して切込方法を検討することの重要性を明らかにした. 3.ゴムコンタクトロールの動的特性を有効に利用し,研磨能率を向上するための繰返し切込方法を提案すると共に,実験結果よりその効果を確認した.
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