研究概要 |
本年度は,塑性加工による薄肉化プロセスにおけるトライボ現象の解明を目的とした2次元しごき加工装置を用いて,ステンレスSUS304を素材として,しごき率,しごき速度,潤滑剤粘度を変更した実験を行い,これら基礎的条件因子の摩擦状態への影響を定量的に把握した.各種極圧性潤滑剤の摩擦低減効果を調べ,ESCAにより極圧添加剤の反応機構を検討し,潤滑機構の解明を試みた.さらに加工後試料の平滑化について検討した結果,しごき加工を加えるに従い転写性は悪くなるが工具面より平滑な面が得られた.次に,鏡面パイプをしごき加工によって製作することを目的として,ラッピング仕上げのコンテナを有する円筒しごき加工装置を用いて,アルミニウム押出しパイプにしごき加工を加え,しごき率,潤滑剤粘度および工具形状が平滑化に及ぼす影響を検討した.その結果,ダイス導入角が大きい場合高しごき率,高粘度のものほど工具-試料間の潤滑剤が排出されにくく平滑性は悪化することが分かった.
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