研究概要 |
本研究では,研削表面性状をごく短時間でオンマシン非破壊測定し,許容範囲内の表面性状に管理された部品の研削加工を行うシステムを開発することを目的とし,そのセンサおよびシステムの開発を行った.昨年度の継続として,本年度はセンサの測定精度に及ぼす各要因の影響,X線残留応力測定機による測定結果との比較・検討,表面性状を安定して得るためのCNC制御方法の検討とシステムの開発を行った.また,センサの改良を行うため,センサの設計指針の確立と試作を繰り返した. 測定精度に及ぼす要因としては,測定ギャップ,被測定物上の研削油剤の有無の影響を採り上げ,実験を行った.測定ギャップは,印可電流を1Aにおいて2mm以内では,応力とセンサの出力電圧に比例関係が成り立つが,それ以上になるとヒステリシスが生じる.しかし,測定ギャップは0.5mm程度存在すれば十分ゆえ,実用上問題ないことがわかった.被測定物とセンサの間に油剤があっても測定値には全く影響しないことがわかった.次に,センサの測定の信頼性を求めるため,工作物の研削表面から深さ方向の残留応力分布を,X線残留応力測定機と試作したセンサで測定した.定性的には同じ傾向を示し,表面性状を管理して研削加工するシステムの判断機として十分な性能をもつと判断できた. これらの結果をもとに,表面性状を管理した研削加工を無人で行うCNC制御システムを開発した.センサによる測定値が設定した許容値を加工中越した場合,実行しているCNCプログラムに割り込みをかけ,ドレッシングを強制的に行ったり,研削条件を変更するなど,センサによる出力信号から研削盤のそれらの動作をパソコンで判断および指令制御するソフトを開発した.
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