光造形法は迅速な模型製作法の1つとして注目されており、機械部品等の試作用モデル、義歯製作用の顎骨模型、宝飾等の分野で一部使用されているが、さらに広く普及するには安価な装置の開発が求められている。市販されている装置が高価な一因としては、光源にレーザ光を使用していることが挙げられる。そこで本研究では、光源に比較的安価な水銀キセノンランプを用い、これに光ファイバを接続して紫外線を導光し、光ファイバの走査速度、距離等をパーソナルコンピュタ-で制御する安価な装置を試作した。また、光造形法は硬化した樹脂を積層して模型を製作するので、1層の厚さを可能な限り薄くしているが、模型の斜面部は微視的には階段状になる。そこで、階段状の斜面部に二次硬化を行い、平滑な斜面部を有する模型の製作を検討した。 紫外線を導光するのに光ファイバを使用したが、樹脂硬化に有効な370nm付近の光は光ファイバを通過しても強度の低下は認められず、使用に際して問題がなかった。平滑な斜面部を有する模型の製作法は、ガラスの上に感光性樹脂を置き、この中に階段状の斜面部をのせてガラスの下部より紫外線を照射して二次硬化させると平滑な斜面部を有する模型が得られ、この面の表面粗さは(Rmax)約10μmであった。斜面部が平面の場合には本法の適用が有効であったが、斜面部が曲面の場合には本法は適用できないので今後の課題としたい。また、光ファイバから出た光を平行光に近づけることおよび直径を変化させた場合についても今後検討したい。
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