未来材料として傾斜機能材が注目されているが、実際の製品にする際の加工データは少ない。ジルコニア/ニッケルの組成比の異なる傾斜機能材を新しく作製し、その研削特性を調べた。特に、研削加工による強靱化と表面性状が傾斜機能材の強度特性にいかなる影響をおよぼすかを明らかにした。 ZrO_2/Niの複合材料では、ZrO_2の含有量が増えるにつれ、曲げ強度が増す。Niの粒子はZrO_2のそれより非常に大きいので、破壊の際、Niにクラックが入る。入ったクラックが数多くの微小なZrO_2によってその伝播が止められ、強くなったといえる。Niの含有量が増えると、m相量が増える。焼結の冷却過程において、Niの収縮が大きく、ZrO_2が圧縮せられ、マルテンサイト変態したといえる。 ダイヤモンドホイールの作用砥粒径を大きくすると、加工面のm相量が増し、仕上げ面粗さが大きくなる。また、ZrO_2の含有量が多い方がm相増加率は小さい。さらに、ZrO_2が多く含まれる試料では、作用砥粒径が大きくなるにつれて、m相量は増し、強度は増加する。一方、ホイール周速度が小さくなるほど、仕上げ面粗さは増す。ホイール周速度が増すほど、m相量、曲げ強さは増す。周速度が増すと衝撃的な力がかかり、マルテンサイト変態が多くなったといえる。逆にNiの含有量が50%を超えると、周速度が増すと、m相量は減るが、曲げ強さは増す。 SD140/170で研削を行なった後、表面をポリィシングで除去し、残留応力を測定した。ZrO_2部ではすべて圧縮残留応力となっている。Niの含有量が増すと、m相量、ZrO_2の圧縮残留応力が増加する。しかし、Ni部では、Niが少ないとき、圧縮残留応力となり、Niが100%では完全に引張りの残留応力になる。これらは書加工表面でマルテンサイト変態が起こるためである。つまり、ZrO_2部の相変態による体積膨張がNi部を圧縮し、Niの残留応力が圧縮になったといえる。
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