研究概要 |
本研究は,SiCウィスカ-と液状フェノール樹脂とを混ぜ合わせ,粘土状にしたものを一方向に延ばすことによりウィスカ-の方向をそろえ,これを約180℃で焼き固めてセグメント状に成形した固定研磨材によるラップを作製した.そして,これを用いてダイス鋼SKD11の焼き入れ材(HRC60)をラッピングすることにより,仕上げ面粗さ16nmRmax(1.5nmRa)を得ることができた. しかし,研磨材が非常に微細なため目づまりが生じ,加工能率が低下する傾向がある.そこで,加工液中に微細な砥粒を混入させ,この遊離砥粒によりラップ面をドレッシングしながらラッピング加工する方法を考えだした.この方法により,加工能率を非常に向上することができた.現在は,ドレッシング材としてホワイト・アランダム(WA),グリーン・カーボン(GC),酸化セリウム(CeO_2)などの♯5000〜30000の砥粒を使用し,この濃度を種々変化した場合の仕上げ面粗さ,加工能率などについて実験を行っている.ドレッシング材としては,理想的には,硬度が被加工物より低く,砥石結合剤より高い砥粒を用いるのがよいものと考えられ,これを用いることにより加工能率だけでなく,仕上げ面粗さにおいても向上することができるものと考えられる. また,加工表面,砥石表面についてもSEM,レーザー干渉測定顕微鏡およびAFM(原子間力顕微鏡)により観察を行い,種々の結果の中から最良の条件について検討を行っている.
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