研究概要 |
本研究においては,工学システムの概念設計では設計目標,システムの機能,挙動や構造に関する情報が重要であると考え,これら4つの情報を組織的,有機的に表現し利用する枠組みを検討している. 平成8年度は,機能モデルに表現されたシステムの設計情報から,システム挙動を導出する手法について検討した.このためには, (1)設計者の分析・表現したシステムの機能への構造の割り当て,および, (2)構造から挙動の導出手法 が必要となる.(1)については,過去のシステムコンポーネント使用法を分析して各コンポーネントの機能と構造を対応づけしたデータベースを作成し,パターンマッチングによる方法により機能への構造の割り当てを支援するインタフェースシステムを構築した.また,(2)に対しては,Woodsが提案しているHybrid Phenomena Theory (HPT)の適用により,システムの構造モデルとその挙動を解析する数値シミュレーションプログラムとの結合を行った.また,HPTでは,定性的なモデルや定量的なモデルといったモデルの詳細度を変えて挙動を導出することはできなかったが,HPTにモデルの複雑さの指標を導入することにより対応できるように拡張した.検討した機能への構造の割り当て手法や挙動導出手法の有効性は,セントラルヒ-ティングシステムの概念設計を行う例題により検証した.
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