研究概要 |
マイクロマシンの運動解析研究の一環として,片持ち梁および曲がり梁における振動減衰特性を解析し,寸法微小化と減衰比の関係を明かにした.まず梁に加わる空気抵抗について,系を球の集合で近似する簡便な計算式を導出し,実験値との比較により適用限界を示した.つぎに,スクイズ力を無限小幅軸受により,内部摩擦を構造減衰により計算し,これらを組み合わせて全減衰力を得た.結果をシリコン片持ち梁,および,パ-マロイ片持ち梁と卍梁に適用し,マイクロ領域ではスクイズ力,空気抵抗,内部摩擦の順に減衰力が大きいことを示した.最後に本結果からステップ応答を簡便に計算する方法を示し,電磁駆動アクチュエータの残留振動を解析した. 主な結論を以下に示す. (1)梁形状を相似形とすると,減衰比のうち,空気抵抗は長さの-0.5〜-1乗に,スクイズ力は-1乗に比例し,内部摩擦は寸法に依存しない. (2)シリコン片持ち梁では,マイクロからセンチ領域まで,スクイズ力,空気抵抗,内部摩擦の順に大きい.スクイズ力を無視したパ-マロイ片持ち梁および卍梁では,長さ100μm〜2mm以上では内部摩擦が,それ以下では空気抵抗が支配的である. (3)シリコン片持ち梁における1次共振の空気抵抗は,振動レイノルズ数が16〜570の範囲で実験値と計算値が一致する.また1辺300μmのパ-マロイ卍梁の1次と2次の空気抵抗の差も,実験値と計算値はほぼ一致する.
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