研究概要 |
振動を用いるメモリやセンサでは,梁の固有振動数以上でのサンプリングが不可能なため,高速化には,振動子のアレー化による並列処理が必要である.このため,これら機器の高速,高機能化には,アレー状マイクロ振動子のエネルギーに着目した運動特性の解明が必要となっている.本研究では、梁を球の連鎖で置き換える,Kokubunらのビーズモデルを発展させ,並列振動子における周囲流による振動連成を解明した.まず,球間の流れの連成を考慮した空気抵抗の計算式を導出して,これと梁の運動方程式を組み合わせ,梁の振動連成と減衰比を簡便に求める計算法を提案した.次にシミュレーションにより,振動連成と梁寸法,梁間距離の関係を求めるとともに,実験により理論の妥当性を検証し,アレー状振動子を用いたアクチュエータなどの梁間隔における設計指針を示した. さらに,アクチュエータの微小化,集積化に伴う動力学的課題である連成振動のうち,支持点での連成に関して2本の梁を有する振動子のFEM解析をおこない,空気連成との関係を調べ,連成振動を支持部の弾性振動および空気流による連成の2つの要因で比較し,支持連成と空気連成の支配領域を明らかにし,連成振動を抑える設計指針を定量的に示した. さらに,マイクロ化に際する支持部の影響を考慮し,支持連成は減衰比に依存するが寸法に依存しないこと,及び空気連成は寸法に依存するため両者の大小関係は寸法に依存することを明らかにし,マイクロ振動子の材質に関しては,シリコンとパ-マロイとを比べるとパ-マロイの方が減衰比が大きいため連成が小さくなることを明らかにした.
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