研究概要 |
水圧駆動システムは,作動流体の入手・廃棄が容易な上,従来の油圧と同等のパワーを持ち,特に清浄性を要する作業やジェットカッティング等において適用されつつある.本研究の目的は,高水圧システムに用いられる定圧源装置を安定化するために,アキュムレータ構造の吸振器の最適設計法を求めることである. 昨年度は,圧力調整弁には十分な減衰をもつダンパーを取り付け,十分な容積のポンプ出力室を用いれば全圧力域で安定動作が得られること,また,アキュムレータの気体室容積,および出力室との接続管形状に最適条件があること等を数値シミュレーションで明らかにした. 本年度は,より詳細で系統的,実用的条件においてシミュレーションを行い,実験によりその証明を試みた.特にダンパーに充填する流体粘土(油,グリセリン+水,水,空気等)およびアキュムレータ予圧の影響を検討し,また,アキュムレータとポンプ室との接続管に最適形状が存在する理由は,圧力あるいは弁リフトの変化に伴い振動モード即ち不安定な特性根の種類(弁,出力管路,アキュムレータ等による)が切り換わって単調でない変化をするためであることがわかった.また,予圧が高いほど系は安定化するが,ポンプ脈動のような低周波振動を吸収するには予圧が低めの方が効果的であり,両者の振動除去のために複数個のアキュムレータの最適配置・設定法等の今後の問題として検討する必要がある。 以上により,水圧駆動装置を安定化する動吸振器の設計指針,さらに将来,系の振動をアクティブ制御するための基礎資料が得られ,所期の目的がほぼ達せられた.
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