研究概要 |
イルカが遊泳の際に、その皮膚を振動させ水から受ける抵抗を制御していることはよく知られているが,この例から認められるように壁の振動は流れを動的に制御する機能を有している。しかしその詳細は不明であり,研究すべきことが多く残されている。本研究はその第一段階として二次元チャンネル内の定常流れにおいて、下部の壁の一部を振動させ、その振動が圧力分布に与える影響について実験的に研究したものである。なお今回の研究では、実用的に最も興味深い圧力分布の定常成分のみに着目した。今回の実験において、チャンネルの幅は20mm、壁の振動の最大振幅は0.3mm程度から0.9mm程度、主流のレイノルズ数は1000から7000程度とし、壁の振動周波数を最大50Hzまで変化させた。実験結果を要約すると次のようになる。 1)壁の振動は、壁を振動させないときに比べ上流側及び下流側のきわめて広い範囲の圧力分布に影響を与える。この影響は壁の振動周波数が30Hzの近傍にあるときに特に顕著である。 2)壁の振動が圧力分布に与える影響は、今回の研究範囲内ではレイノルズ数が低い時ほど顕著であり、レイノルズ数の増加とともにその効果は相対的に弱くなる。尚今回の実験範囲では壁の運動は大体において圧力を増加させるほうに作用する。
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