研究概要 |
壁面の能動的な振動が、流れ場の特性に及ぼす影響を実験的に研究した。即ち、能動的に振動する壁を有する二次元チャネルを透明アクリルで製作し、その内部における圧力分布、速度分布、乱れ強さの分布を実験的に測定し、これらの値に及ぼす壁面の振動の効果を調べた。なお、試験流体としては、測定の容易な空気を選び、遷移領域を対象とした。そして、圧力分布に関しては、実用上重要な定常成分にのみ注目した。そのため、この値は高い精度をもつ沈鐘型微差圧計を用いて測定した。また速度分布と乱れ強さはI型ホットフィルムを用いて測定した。さらに乱れに関しては、最大エントロピー法によりパワースペクトルも求め、その特性に対し考察した。結果を要約すると次のようになる。1)壁面の振動は、その振動周波数が30Hz近傍にあるときには圧力の定常成分に強い影響を及ぼし、複雑な分布を形成する。この効果は、レイノルズ数が大きくなると相対的に弱くなる。2)壁面の振動は、速度分布を平坦化させ、乱れを強くする効果がある。この効果は、壁面の振動周波数が15Hz以上で、レイノルズ数が小さいときに顕著になる。3)壁面の振動は、その周波数が30Hz,及び45Hzのとき、乱れのパワースペクトルの分布に強い影響を及ぼす。この効果は、400Hz以下の低い周波数領域で見られ、レイノルズ数が低くなると顕著になる。4)壁面の振動が圧力分布や乱れ強さに及ぼす影響は、振動部から離れたところでも顕著に表れ、広い範囲に及ぶ。
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