研究概要 |
本年度は,電気粘性流体を用いた制御弁と磁性流体を用いた制御弁それぞれについて,試作,検討をおこなった. 1.電気粘性流体を用いた積層電極形制御弁の試作:電気粘性流体を用いた制御弁の基本特性を把握するため,26[mm]×40[mm]の平面電極を0.5[mm]間隔で12層積層した構造で,印加電圧0〜2.5[kV]により電極間を通過する電気粘性流体の粘度を変化させ粘性圧力損失を制御する制御弁を試作し,静特性,動特性を測定した.その結果,流量に依存せず電界強度にほぼ比例して上流,下流間の差圧を0〜0.3[MPa]の範囲で制御できること,入力電圧から差圧への伝達関数のバンド幅が30[Hz]であることなどを確認した(研究発表文献2)).また実験結果にもとづきビンガム流体のレオロジー方程式に一部補正を加えたレオロジー方程式を導き,くし形電極を用いた圧力制御ERバルブを設計,試作し,油圧駆動のゴム人工筋FHA(Flexible Hydraulic Actuator)を用いた1軸マニピュレータの駆動に応用し,実験的検討をおこなった(研究発表文献3)). 2.磁性流体を用いた制御弁の試作:70[mm]×60[mm]×40[mm]のラージモデルを試作し,まずストップ弁を構成し許容圧力を測定した.その結果,電磁石の電流0〜0.5[A]に比例して許容圧力を0〜11[kPa]まで制御できること,磁性流体の飽和磁化の増大で許容圧力を向上できること,2段化により許容圧力を比例的に向上できることなどを確認した.また磁極を交換し流量制御弁を構成し,電磁石電流により流量を制御できることを確認した.さらに,電磁石のマイクロ化を可能とするため,永久磁石を利用し,通常は永久磁石で磁性流体を保持し,流量を切換えるときのみ瞬間的に大電流を電磁石に通電するマイクロ切換弁を提案し,ラージモデルを用い切換え動作確認などの基礎的な実験的検討をおこなった(研究発表文献1)).
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