研究概要 |
高出力密度の流体パワーを用いたマイクロマシンの制御要素として,印加電界で粘度を制御可能なER流体(電気粘性流体)および磁界に吸引される磁性流体を用いた二つのマイクロ制御弁を提案し,試作および実験により各特性を検討するとともに,応用について検討した. (1)ER流体を作動流体としたマイクロ制御弁の試作:前年度の研究で得られた粒子分散系ER流体のレオロジー方程式(研究発表1))に基づき,一辺12mmの立方体形状の3ポートマイクロERバルブを設計・試作し,5kV/mmで0.4MPa程度の負荷圧力変化が得られることを実験的に確認した(研究発表4)).またこのマイクロERバルブでサーボ系を構成し、長さ40mmのゴム人工筋を用いた1軸マニピュレータの制御を実現した(研究発表5)). (2)磁性流体を用いたマイクロ制御弁の試作:前年度試作したラージモデルの動作確認に基づき,一辺20mmの立方体形状のマイクロ切換弁を試作した.まず付加鉄心で漏洩磁束を低減し許容圧力の向上を図った(研究発表2)).つぎに流路切換え実験により,印加圧力8kPa,周波数7Hzの切換えが可能なことを確認した(研究発表2),3)).さらに最適設計のための第一段階として,流れ場中に磁界により保持された磁性流体の分布形状の数値解析法について検討した(研究発表3)). (3)管内走行マイクロマシンへの応用:良好な性能が得られたマイクロERバルブを外径9.8mmの円筒形として設計・試作し,負荷圧力変化0.2MPa(研究発表5)),ステップ応答の立上り時間6.4s,立下り時間8.4s(研究発表6))を確認するとともに,内径14mmの管内走行用マイクロマシンに搭載し,速度0.9mm/sで直進走行可能なことを実験的に確認した。
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